いじめ・自殺に思う
滋賀県大津市の中2男子の自殺のニュースで、今や日本中が心を痛めている状態でしょう。
先日、当園の保護者の方から「園長先生!いじめについてのお便り、待っています!!」というお声をかけて頂きました。そこで、熟考した上で、ここに私の考えを書かせて頂きたいと思います。
私自身も、中1の二学期から中2の一学期まで、いじめを受けていた経験があります。とは言え、金品を盗られたり、殴る・蹴るなどではなく、無視をされたり、一人だけおいてけぼりをくらったり、悪口を書いた手紙が靴の中に入っていたり、自転車やヘルメット、通学カバンを隠されたりといった程度です。
でもここに書きながら、当時を思い出すだけでも胸が苦しくなり、どよ~んと暗い気持ちになってきていますので、当時の自分としては過酷で苦しかった思い出です。毎日毎日「今日は平穏無事に過ごせますように・・・。」と、通学中に通り過ぎる神社の前で祈っていました。
結局、二年生になりクラス替えがあり、別の仲良しのお友だちが出来た事がきっかけで、私自身がそのいじめっ子集団とは決別が出来たので、その後の中学生活はとても楽しいものとなりましたし、気付けばそのいじめっ子集団だった子たちとも、また一緒に遊べるようになっていたものでした。
原因は「転校生なのに生意気!!」だったとか。良くある理由です。
もちろん、両親には言えませんでした。学校で暗かった分、自宅で母や妹達にあたり散らしていました。でも、反抗期・思春期と重なっていたため、母は「反抗期なのだろう・・・。」と思っていたようです。これも良くある話しです。
きっと、これを読んでいる方々の中にも「私もいじめられたよぉ~(>_<)」という方は、たくさんいらっしゃると思います。かと言って、いじめられた経験のある方が、いじめられるに値するかというと、それは全然違うと思います。なぜならば、いじめの原因は些細な事がほとんどだからです。極端な話「肩にハエが止まったからキタナイ!」なんていう理由でいじめが始まったりもするのです。私の友人は「鼻の頭に出来たニキビ」がきっかけでいじめられたという子もいました。
今回の事では、教育委員会・教師達の対応の悪さに、日本中が怒り心頭です!かけがえの無い命を失ったその後まで、自分達の保身を優先され、侮辱され続けた訳です。本当に許しがたいとは思いますが、次なるいじめのターゲットにされるのは負の連鎖を生むだけです。爆弾予告や殺人予告などという過激な行為には、賛同しかねます。
教育委員会・教師達に対して、言いたい事はたくさんありますが、一番大切な事は、いじめで命を落とす子が出ないようにしていく事です。
ここを開園した初期の頃にも、この園長だよりに書いた事があるのですが、いじめられっ子を作らない教育は存在しないのです。我が子に「いいか!おまえは絶対にいじめられっ子にだけはなるなよ!」と、言い聞かせる事は出来るでしょうか?答えは「NO!」です。
なぜなら、先にも書きましたように、いじめの原因は本人にも気付かないような些細なことだったりするからです。
ではどうすれば良いのか?
いじめっ子を作らない事です!それは教育です。教えです。我が子に「いいか!おまえは絶対にいじめっ子にだけはなるなよ!」と、全ての親や教師が子供に教えるのです。
「いじめは卑怯だ。人の物を盗ってはいけないよ。人を傷つけてはいけないよ。蔭口はいけないよ。仲間はずれはいけないよ。遊び半分でも、お友だちが嫌がっていたら、やめるんだよ。」
「困った事があったら、なんでもお母さん(お父さん)や先生に言っていいんだよ!」
そして何より大切なことは「自分で自分を殺したらいけないよ!」
この様な当たり前の事を、親や教師、いわゆる大人達が、きちんと言葉にして子ども達に教えていないのです。言わなくても分かっているだろうではなく、繰り返し言わなくちゃ分からない。それが子ども達なのです。
小さい時から、大好きなお母さん・お父さん・先生から、繰り返し繰り返し言われて育った子供なら、万が一「いじめっ子」の一員として加担しかけたとしても、罪悪感で苦しくて苦しくて、いじめを楽しめなくなるはずなのです。
簡単な事ではありません。でも何も始めなかったら何も変わりません。
こんなにも痛ましい事件のあった後です。あれだけの震災を通じて、命の尊さ・仲間の大切さを痛感したばかりの日本です。今変わらなくて、いつ変わるのでしょう?
これを読んだ方だけでも構いません。ぜひ我が子に、自分の身近にいる子ども達に「いじめっこになるな!」という教えを授けていきましょう。それはジワジワ~と浸透して、世界中から称賛された日本人の国民性という所にまで、いつかは行き着けるはずなのです。
「いじめ」のない未来を、我が子達から作れるかもしれない。そんな可能性を、心から信じたい!そう切に願います。
最後に、いじめが原因で、自ら命を絶った子ども達へ。
心からご冥福をお祈りいたします。